「自分の経験を活かして、何か仕事を始めたい」
そう思っても、「人にお金を払ってもらえるほどの得意なことなんて……」と、立ち止まってしまうことはありませんか。
今回ご紹介する山口智子さん(仮名)が仕事にしたのは、ノートの書き方を教えることでした。
会社員として働きながら、学びと実践を重ねて起業へ。始めたときには、パソコンさえ持っていなかったそうです。
でも、得意なノート術が、最初から売れたわけではありません。
体験会を開いても、申込みにつながらない。山口さんの転機は、お客様が普段、何に困っているのかを聞くようになったことでした。聞いた困りごとをもとに、体験会を見直していったのです。
この記事では、その転機をたどりながら、あなたの得意なことを講座にするためのAI活用も紹介します。
目次
得意なノート術がある。でも、仕事にする方法がわからない
セミナーを聞きながら、忘れないように一生懸命メモを取る。
ところが、あとから読み返すと、「何が大事だったのだろう」とわからなくなる。仕事で使おうとして、もう一度まとめ直す。
そんな経験はないでしょうか。
山口さんが得意としていたのは、話をそのまま書き写すのではなく、短い言葉とイラストに置き換えて、その場で内容をまとめることでした。
自分の言葉やイメージで整理するため、あとから見返したときに、学んだ内容を思い出しやすい。人への説明や報告書づくりにも役立つ。
そんなノートの書き方を、自分で工夫してきたのです。
オンライン化が進むなかで、山口さんは「この得意なことを教えて、起業できないだろうか」と考えました。
ただ、何から始めればよいのかわからない。
そこでAI自動集客の学校で学び、仕事の合間やお昼休みも使いながら、実践を始めました。
一生懸命説明したのに、「自分でやってみます」で終わってしまう
体験会を開いても、最初の成約にはつながりませんでした。
ノートの書き方については、本や動画にも情報があります。方法を説明すると、参加者は「絵や短い言葉でまとめればよいのだ」と理解する。
でも、その先の申込みには進まない。
役立つ方法だからこそ、教える側は熱心に説明します。それでも、「なるほど」と理解してもらうことと、「自分には学ぶ必要がある」と感じてもらうことは違いました。
相談した山口さんが受けたのは、自分が売りたいという気持ちが先に立っていないか、という指摘でした。
ショックだったそうです。それでも、そこで立ち止まりました。
お客様の話を、十分に聞けていただろうか。
本当に、相手の困りごとを解決する体験会になっていただろうか。
「どう説明すれば売れるか」から、「相手は何に困っているのか」へ。
ここが、山口さんの転機でした。自分の得意なノート術をどう伝えるかに加えて、参加者が仕事や暮らしのどこで困っているのかを、具体的に確かめるようになったのです。
転機は、お客様の「困りごと」を聞くことだった

山口さんは、参加者が普段どのようにノートを使っているかを聞くようになりました。
- 毎日、どのくらいノートを書いているのか。
- 会議のメモを、あとからまとめ直しているのか。
- 必要な情報を探すのに、時間がかかっていないか。
こうして聞いていくと、「ノートをうまく書きたい」という希望の中身が見えてきます。
困っているのは、字や絵の上手さだけではないのかもしれません。
必要な情報が見つからない。
メモを読み返しても、話の内容を思い出せない。
まとめ直す作業に時間がかかる。
山口さんは、そうした作業に使う時間が積み重なると、どれくらいになるかを、参加者自身に計算してもらいました。
ここで、読者の皆さんも身近な例で考えてみてください。
仮に、メモを探したり、まとめ直したりする時間が1日15分。月20日あれば、合計5時間です。
もちろん、ノートの書き方を変えれば、その時間がすべてなくなるという意味ではありません。
ただ、数字にしてみると、「自分は何に時間を使っているのか」「どの作業を改善したいのか」が具体的になります。
方法を知るだけでなく、自分が学ぶ理由に気づく。
この事例で大切なのは、お客様の困りごとを聞き、体験会の見直しにつなげたことです。
「ノートをうまく書きたい」の奥には、探す時間や、まとめ直す負担があります。そこまで聞くことで、教える側は何を支援すればよいかを考えやすくなり、参加者も自分が学びたい理由を確かめられます。
困りごとを聞いたうえで、実際に手を動かし、迷うところを一緒に整理する。そのための「体験」と「対話」も大切にしていきました。
「知った」で終わらず、一緒にやってみる。体験と対話が初成約へ

山口さんが大切にした、もう一つの要素が「体験」と「対話」でした。
体験会は、おおむね5人以下の少人数。一方的に説明するだけでなく、参加者にも話してもらい、一緒に進めていきます。
方法を聞いてわかったつもりでも、自分でやってみると迷うことがあります。
たとえば、短い話をノートにまとめる場面を想像してみてください。
「大事な言葉だけ残しましょう」と言われても、どの言葉を選べばよいのか迷う。イラストで表そうとして、手が止まる。
これは理解を助けるための例ですが、実際に取り組むと、説明を聞くだけではわからなかった疑問が出てきます。
その疑問を話し、一緒に整理することで、自分ができることと、支援が必要なところを確かめられます。
山口さんの体験会でも、参加者からは、90分で予想以上に学べたという感想や、一人で実践する難しさに気づいたという声があったそうです。
こうした見直しを重ね、その先で、最初の成約につながりました。
あなたの得意なことも、「誰の、どんな困りごとに役立つか」から考える
この事例は、ノート術を教えたい人だけの話ではありません。
資料づくり、片づけ、料理、後輩への説明。日々の仕事や暮らしで身につけてきたことにも、誰かを助けられるものがあるかもしれません。
ただ、「自分が何を教えられるか」だけを考えていると、内容を詰め込みすぎてしまうことがあります。
そこで、次の3つを一文ずつ書いてみてください。
- 誰が、どんな場面で困っているか。
- その人は、何ができるようになるとうれしいか。
- 困りごとの一部分を、一緒に試すなら何ができるか。
たとえば、資料づくりなら、「見やすい資料のつくり方を教える」から、もう一歩具体的にします。
「会議資料の内容を絞れず、毎回作業が長引く人と、最初の1ページを一緒に整理する」
ここまで考えると、誰に向けた、何を体験する講座なのかが見えてきます。
書けないところは、想像で埋めずに、実際に困っている人に聞いてみましょう。
AI活用① お客様から聞いた「困った」を整理する

相手の話を聞いても、「これをどう講座にすればよいのだろう」と迷うことはあります。
そんなとき、整理や案づくりを手伝ってもらえるのがAIです。
たとえば、ノートについて、次のような悩みを聞いたとします。
「会議のメモを見返しても、内容を思い出せない」
「必要な情報を探すのに時間がかかる」
「メモを書き直す作業が負担になっている」
以下は使い方を説明するための仮の例です。ChatGPTなどの対話型AIに、次のように入力できます。
ノート術の体験会を考えています。
以下の悩みを「困っている場面」「改善したいこと」に分けて整理してください。書かれていないことは推測で補わず、追加で確認したい質問を3つ挙げてください。
・会議のメモを見返しても、内容を思い出せない
・必要な情報を探すのに時間がかかる
・メモの書き直しが負担になっている
整理された内容を見ながら、実際に聞いた話と合っているかを確かめます。
入力する際は、名前や勤務先、会議の機密情報などを除いてください。
AIが考えた悩みをお客様の本音として扱わず、実際に聞いた声をもとにする。
この順番が大切です。
AI活用② 説明だけで終わらない「小さな体験」を考える
悩みが整理できたら、参加者が手を動かせる内容を考えます。
AIには、続けて次のように依頼してみましょう。
この悩みに合う、15分程度のノート術の体験ワークを3案考えてください。
それぞれ、以下を示してください。
・取り組むこと
・必要な準備
・進め方
・終わったあとに本人が確かめること初心者でも取り組める範囲にし、効果は保証しないでください。
たとえば、「短い話を聞き、決まったことと次にすることを分けて書く」といったワークが候補になります。
そのあとに、
「どこで迷いましたか?」
「あとから見返したときに、次の行動がわかりますか?」
と対話する時間を設ければ、体験を振り返ることができます。
AIが出した案は、そのまま採用する必要はありません。自分が教えられる内容か、時間内に無理なく取り組めるかを確認し、実際に試して調整しましょう。
AI活用③ 「何を体験できるか」が伝わる案内文をつくる
体験会の内容が決まったら、告知文の下書きにもAIを使えます。
次の体験会の案内文を、200字程度で作成してください。
対象:会議のメモをあとから整理するのに困っている人
内容:短い話を聞き、決まったことと次にすることを分けてノートに書く対象者の悩みと、当日取り組む内容を具体的に伝えてください。実績・参加者の感想・効果の数字は作らないでください。
日時や料金など、不明な情報は補わないでください。
「便利なノート術を教えます」という説明だけでなく、誰が、何に取り組める時間なのかを伝える。
その視点で、できあがった文章を見直します。
自分が実際に提供できる内容になっているか。誤解を招く表現はないか。必要な開催情報がそろっているか。
最後は、自分の言葉で整えてから使いましょう。
AIとオンラインで、あなたの経験を仕事の形にしていこう
山口さんには、最初から得意なノート術がありました。
それでも、すぐには売れませんでした。転機になったのは、お客様の「困りごと」を聞くこと。そこから、体験と対話を重視する形へ体験会を見直し、初成約につながりました。
AIを使って講座をつくるときも、出発点は同じです。まず、相手が実際に困っている場面を聞く。その声をもとに、AIと内容や案内文を整えていきましょう。
あなたも、自分の経験を仕事にしようとするとき、すべてを一人でまとめようとしなくて大丈夫です。
相手の話を聞く。
AIと一緒に整理する。
小さな体験をつくる。
必要な人に伝わる案内文にする。
AIに下書きや案づくりを手伝ってもらいながら、人と向き合う時間を大切にしていきましょう。
あなたが当たり前にやってきたことが、誰かの困りごとを解決する一歩になるかもしれません。
まずは一人に、「普段、それで困るのはどんなときですか?」と聞くところから始めてみませんか。



